自由意志論と決定論に決着がついた?
さて、このカテゴリーでは良かった書籍を紹介したいと思います!
書籍紹介とは難しいもので、ネタバレをしないように、尚且つおもしろい部分を抽出しなければなりません。
人文書は比較的ネタバレには寛容だと思うので、そこらへんは大丈夫かな!?
自由意志論と決定論の議論に深く切り込んだ名著
著者のトーマス・ピンクは、イギリスのロンドン大学キングス・カレッジの哲学科の教授であり、中世・近代哲学、倫理学、心の哲学など多岐に渡った専門領域を幅広く研究しています。
2017年12月14日に発刊した今回の著書の『自由意志』はオックスフォード・ベリー・ショート・イントロダクションシリーズの一冊としてかかれた哲学の入門書です。
本書は、哲学の分野だけではなく、生物学や神経科学など自然科学系の学問でも問題になる「自由意志論」と「決定論」の対立の歴史的変遷を詳しく説明しながら、自由意志の概念がどのように扱われてきたかを分かりやすく解剖しています。
この本のすごいところは、現代の人文書には珍しく、中世の、いわゆる伝統的な自由意志論から、近代哲学者のホッブズやカントを批判しながら取り上げ、自由意志の概念を守っていくという、なんともダイナミックな思想が繰り広げられているところです。
いやほんと、目からうろこな考え方がびっくりで、自由意志の議論になれている方でもおもしろく読めると思います。
自由意志って本当、感覚的にはわかってんだけど、どうやって決定論と両立していくんだろうね?
本書の核は、両立可能論と両立不可能論の双方の長所と短所を丁寧に取り上げつつ、普段僕らも日常で使っているあの概念(是非お読みください)から、自由意志と決定論の対立に折り合いをつけていきます。
いやほんと、凄い!
もちろん、この書籍にも数々の問題が残されています。
それこそがやっぱり人文書の醍醐味で、この論にどう批判を加えていくのかということを考えながら読むのも勉強になると思います。
お勧めなので、是非購入を検討してみてください!
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