ヘラクレイトス|3行まとめ
ヘラクレイトスは紀元前、古代ギリシアの哲学者。「万物は流転する(パンタ・レイ)」という思想を持つ。この絶えず流動し、対立や矛盾をはらむ世界のなかの根本原理として「ロゴス」という概念を用いた。
時代背景と人物像
ヘラクレイトスが活躍したのは古代ギリシャ時代のイオニア地方。生涯について詳しいことは分かっていないが、貴族階級の生まれとされる。
ピタゴラスやホメロスなどへの批判を行い、当時の政治や大衆についても痛烈に批判していたと考えられる。この人間嫌いの性格から、最後は人里離れた場所で生活して亡くなったという逸話も残っている。
ヘラクレイトス自身の著作は残っておらず、ほかの著作の引用として断片のみが残る。孤高の生涯、難解な思想から「暗い人」「泣く哲学者」と呼称されている。
思想
・万物の根源「火」
ヘラクレイトスは「火」を万物の根源とし、それは常に変化し続けるものとした。彼はこのことを川の流れに例えて伝えたという。
「同じ川には二度と入れない」
「なぜなら、2度目に入るときは川も私も1度目とは異なっているからだ」
このように万物の変化を指摘した彼の思想は「万物は流転する(パンタ・レイ)」という言葉で表現された。しかし「万物は流転する(パンタ・レイ)」はヘラクレイトス自身の言葉ではなく、後世に彼の世界観を解釈してつけられた言葉である。
・ロゴス
ヘラクレイトスは万物が常に移り変わるなかで、絶対的な万物を支配するものを「ロゴス」とした。万物は「ロゴス」に従って常に変化し続けているのである。
例えば、「上り坂と下り坂」という対立構造がある。これも同一の「モノ」が「上り坂」と「下り坂」で変化するものである。
他にも「昼と夜」という対立を考える。「昼と夜」は「昼」から「夜」へ、「夜」から「昼」へ同一の「モノ」が常に変化し続けるものである。
「上り坂」と「下り坂」は何に従って変化するのか。「昼」と「夜」の変化は何に従って起こるのか。この万物の変化を統べているのが「ロゴス」なのである。
ヘラクレイトスにとって「ロゴス」とは万物の法則・真理・神であり、この「ロゴス」を理解することがすなわち知恵をつけることであると考えた。